【レビュー】人間/又吉直樹【ネタバレなし】

読書

こんにちは、管理人のハチです。

ここ最近芸能人が小説を出版することが多くなってきました。
その中でも特に有名な方と言えば、「又吉直樹さん」ではないでしょうか。
お笑い芸人としての彼からは想像しえない作風でとても楽しめたので、レビューしていこうと思います。

あらすじ

38歳の誕生日に届いた1通のメールが痛恨の記憶を呼び起こす。
漫画家を目指し上京した永山が住んだのは、美術系の学生が集う共同住宅「ハウス」。
住人達との生活の中である騒動が起こりすべてが打ち砕かれるー。
何者かになろうとあがいた歳月の果てに永山が見た景色とは?
自意識にもがき苦しみながらそれでも生きていく「人間」を描いた又吉直樹の初長編小説。

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又吉直樹って?(筆者情報)

1980年生まれ、大阪出身のお笑い芸人さんで、お笑いコンビ「ピース」のボケ担当です。(相方は、綾部祐二さん)

自分の世代では、『ピカルの定理』(2010年10月~2013年9月)で活躍してたイメージです。
「ビバリとルイ」や「白鳥美麗物語」などなど。(懐かしい…!)
番組終盤で千鳥が加入してコントやってましたね。(はぁ、懐かしい…!)

2017年に綾部さんがタレントとしての拠点をニューヨークに移し、それに伴いコンビ活動を休止しています。

小説家としては、2015年に『火花』で芥川賞を受賞。
お笑い芸人での受賞者としては、史上初の快挙でした。
当時、単行本の累計発行部数は芥川賞受賞作品として歴代1位となりました。また、電子書籍版は10万ダウンロードを突破し、文藝春秋刊行物として歴代1位になっています。

又吉直樹さんの本の読み方

又吉さんの「WEB本の雑誌」のインタビュー記事で印象的なお話がありました。

小学生5・6年生の頃、読書感想文を書くことになり、映画を見て内容を知っている『火垂るの墓』を選んだそう。それに対して、このようにお話されています。

闇市のくだりだったかな、売っているものをモノの単語を5~6個並べてから読点打ってあるんです。どう読むんやろと思いましたが、「あ、これはもしかして闇市のどこで何を売っているか分からんこととか、隣の店との境界線がないとか、そういう闇市の状況をやろうとしているのかな」と思った時に、なんか、いっこ扉が開いたというか。すごく三次元的に感じたんですよね。それまで読むというのは言葉で説明されたものを頭で再現するものだと思っていましたが、こんなふうに絵を描くみたいな文章の書き方もあるんやっていう。文章自体が絵になっている。それで面白いかもと思って、もう1回冒頭に戻って読み返したらなんとなく分かってきて、それを3回くらい繰り返してリズムと言葉に慣れたら、一応ちゃんと読めたな、という。

作家の読書道 第211回:又吉直樹さん ーーーWEB本の雑誌

私の周りにも「活字は難しいから本を読めない」という苦手意識をもつ方は多いです。
作品の世界観を読み手の想像力で無限に膨らませる、これこそ本を読むことの真髄だなと思います。沢山の方に小説に触れてもらえたら嬉しいです。

Youtube「ピース又吉直樹【渦】公式チャンネル」が面白い!

又吉さんが、様々な作品をハイパー解釈しています。
読み手の想像力でここまで読み深めれることができるのだと感心しました。
読書法なども紹介されているので、是非一度ご覧ください。

作品レビュー:人間

「人間」とは、

にん‐げん【人間】
①人の住む所。世の中。世間。じんかん。
②(社会的存在として人格を中心に考えた)ひと。また、その全体。→人類。
③人物。ひとがら。「―ができている」

広辞苑

このような意味があります。

同じ人でも家族や学校、職場など属するコミュニティーでその人の印象は変わりますし、それぞれ違う価値観の人達から同じ人を見ても、全く違う人間像がそれぞれできあがったりします。
当たり前だけど、奇妙さも感じられます。
この何とも言えない感覚が味わえるのがこの作品です。

作品を読み終わった後、タイトルを見ると全体を通してのメッセージが分かるはずです。

僕達は人間をやるのが下手だ。

又吉さんはインタビューでこのように答えられています。

「火花」で青春時代を書き、「劇場」でも20代の頃を書いてきたが、社会に入って自分自身と向き合いもがき苦しむ若者を描かれてきました。ただ、いつかのタイミングでふと気づき、妥当を覚え社会に順応するようになります。実は、人生はエピローグのほうが長いのです。

作家の読書道 第211回:又吉直樹さん ーーーWEB本の雑誌

昔の黒歴史を思い出して悶える夜があったり、ふとSNSを開いて印象深い友人がむず痒い内容を発信していて急に体温があがったり、、、

その言葉では表すことがなんともむず痒い不思議な感情を独特の世界観で感じることができます。

最後に

テレビでお見掛けしていたイメージと作品から感じ取った雰囲気のギャップを感じ、衝撃を受けました!

「火花」「劇場」も読みましたが、とにかく人を醜く書くのがお上手です。
人間というのは醜い・不完全なもので、それでも一生懸命社会の中で生きていかなければなりません。そこをとても上手に表現されています。

是非一度手に取ってみてください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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