【レビュー】「すべてが、伏線。」invert/相沢沙呼【ネタバレなし】

読書

こんにちは、管理人のハチです。
読み応えのある小説がありましたので、レビューしていきます!

あらすじ

綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。
アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。
だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠(じょうづかひすい)が現れる。
大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。
すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れられるのか?

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相沢沙呼って?(筆者情報)

相沢沙呼(あいざわさこ)は、1983年3月3日埼玉県生まれの男性です。
(お名前からはじめ、女性かと思っていました。。)

お顔の写真は勝手に載せる訳にはいかないので、過去のインタビュー記事のリンクを貼っておきます。是非ご覧ください。
相沢沙呼さん「medium 霊媒探偵城塚翡翠」インタビュー 本格推理小説につめた「日常の謎」/好書好日:朝日新聞デジタル
<相沢沙呼インタビュー>1ページ目を開く前からすでに読書体験は始まっている。/文春オンライン

小学生の頃、アニメが好きで何気なく読んだライトノベルで活字の世界も面白いと感じられたそう。とある小説を読まれ、小説の中の高校生が周囲ともうまくいかないし、学校でもうまくいかない閉塞感を味わう様子が描かれているのを見て「まるで自分のことが書いてあるようだ」と衝撃をうけ、自分が作り手になりたいと思ったことが小説家の道を歩むきっかけとなりました。

2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー
2020年に佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS)と橋本環奈のダブル主演で映画化された「小説の神様」など青春小説でも知られています。
”日常の謎”を題材にこだわって作品を作られてきましたが、「medium 霊媒探偵城塚翡翠」で殺人事件を解決する「本格推理」に初めて挑みました。

筆者自身は、アマチュアマジシャンでもあり、作品中に描かれるマジックの描写がとてもリアル!物語にも上手く絡ませているので、そこもお楽しみポイントの一つです。

作品レビュー:invert

①城塚翡翠シリーズ1作目「medium 霊媒探偵城塚翡翠」を語らずして『invert』は語れない

まず、声を大にして言いたいのは

絶対「medium 霊媒探偵城塚翡翠」を読んでから『invert』を読んで!!

です。これは絶対です!約束してください!
『invert』から先に読まないで下さい!!
何故かというと、1作目で城塚翡翠とは一体何者なのかが1冊に渡ってようやく掴めるからです。
ということで、1作目「medium 霊媒探偵城塚翡翠」を簡単にご紹介します。

  • このミステリーがすごい!2020年版 国内編第1位
  • 2020本格ミステリ・ベスト10 国内ランキング1位
  • 2019年ベストブック(Apple Books)2019年ベストミステリー
  • 第20回本格ミステリ大賞 小説部門受賞
  • SRの会ミステリベスト10 第1位

令和最初の主要ミステリーランキングを総なめしました。

あらすじ

推理作家の香月史郎(こうげつしろう)は、ある事件をきっかけに、つやを帯びた黒髪に碧玉色の眼、蒼白の肌をした少女、城塚翡翠と出会う。彼女は死者をその身に降ろし、その言葉を伝える霊媒だった。
香月は翡翠から発せられる被害者の言葉に助けられながら、論理の力を駆使し裏付けとなる証拠を見つけ、犯人を追い詰める。一方、世間を騒がす巧妙な連続殺人の次の標的に、彼女が選ばれようとしていた。

基本、会話形式が多いのですらすらと読み進められます。翡翠は香月と組んで数々の事件を共に解決していき、物語の要となる連続殺人事件の真相に迫っていきます。
「すべてが、伏線。」のコピー通りラストは驚愕の展開です。
”すべて”とはどこまでなのか、、、気づいた時のゾクゾク感は堪りません。

②倒叙推理小説『invert』

倒叙ミステリー(invert detective story)とは、物語の出だしで犯人や犯行の様子を明かし、犯人目線で展開され事件解決というゴールに紆余曲折しながら進んでいきます。
有名な作品だと、古畑任三郎なんかもこれに当てはまります。

本書は3篇からなる中編集です。いずれも倒叙ミステリーとなっており、犯行過程が分かった状態で物語が進んでいきます。どの部分で犯人を見抜くかどのように犯人を追い詰めていくかが鍵となります。
犯人視点で描かれるからこそ、どんどん追い詰められていくスリル感を堪能できます。

③すべてが、反転。

作品全部で3篇からなります。

  1. 雲上の晴れ間
  2. 泡沫の審判
  3. 信用ならない目撃者

段々犯人の手ごわさが増してきます。

この小説のコピーは「すべてが、反転。」です。
1作品目のmediumが「すべてが、伏線。」だったことも受け、期待感がより増します。
今回の作品は伏線ではなく、反転するというのがポイントです。物語の中に解決につながるヒントが散りばめられ、読者自身が探偵の推理を推理するよう投げかけてくる場面もあるので、そういった部分も楽しんで読み進められます。
(私は先が気になりすぎて碌に推理もせず、がつがつ読み進めてしまいました。。なんてがさつな性格なんだと嫌になります。笑)

④城塚翡翠シリーズの3作品目はあるの?

筆者がこのようにtweetしていることもあり、続編が制作されているみたいです。めちゃくちゃ楽しみです!

⑤文庫化はいつごろ?

講談社は、おおよそ文庫化まで2~3年要しています。
単行本は2021年7月7日に発売されているので、2024年の夏~秋頃での発売が予想されます。

⑥オーディオブックも見逃せない!

オーディオブックで音声化もされています。
城塚翡翠役は、なんと古賀葵さん!!「かぐや様は告らせたい」の四宮かぐやや「古見さんは、コミュ症です。」の古見硝子などを演じている声優さんです。
あざと可愛らしさMAXで最高なので、こちらも是非チェックしてみてください。

最後に

本編内で推理小説について語られる場面があり、その一節が好きなので紹介します。

「推理小説は、推理を楽しむよりも、驚くことが目的となって読まれているんじゃないでしょうか。意外な犯人に意外な結末。推理小説といいながら、驚きの犯人や意外な結末さえ示せれば、探偵の論理なんでどうでもいいのです。そんなの夢中なのは作者と一部のマニアだけ。犯人を当てたい人たちも、論理を組み立てたいわけじゃなくて、勘で察して当たった快感を得たいだけなのです。なんとなくわかったで済むのなら、探偵も警察も検事も要らないのに。」

「ミステリとは、すなわち謎、そして推理小説とは、つまり推理をする小説……。だというのに、普通の人たちが求めているのは、びっくり小説、驚き小説、予測不可能小説なんですよ。」

これは筆者自身が読者に投げかけているメッセージの一つでもあるなと感じました。小説ってこう楽しむものだと教えてくれている気がします。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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